中米からアメリカ不法入国のリアルなお話を聞いたよ

¡Hola! Naoです。

昨今、某国大統領のアメリカ・メキシコ国境付近に壁を立てるといった発言により、中米諸国からアメリカに不法入国をする人が後を絶たないということは、ニュースを通じてみなさん聞いたことがあるかと思います。

筆者も以前に、この中米からの不法入国の実態を「Sin Nombre」という映画を通して学んだことがありました。

また、筆者は会社員時代にアメリカの国境付近の都市であるSan Diegoに駐在していたことがあり、その国境を挟んだ向かいのメキシコの都市Tijuanaとの間で不法入国が大きな問題になっていたことも知っていました。

しかし、現在筆者がグアテマラ留学の一環でホームステイしているお宅のお父さんがこのアメリカの不法入国の経験者であり、よりリアルな話を聞くことができました。

事実は小説より奇なり。日本のニュースではなかなか聞くことのできないリアルな不法入国のお話を今回はシェアしたいと思います。

1.そもそもなぜアメリカに行きたいのか?

それはズバリお金を稼ぐためです。

筆者が現在住んでいるグアテマラのサン・ペドロ村の住民の大半は、世界銀行の定める貧困ラインの1日2ドル未満で生活しています。

多くの住宅は、セメントにトタン屋根の平屋で、家にはかろうじてブラウン管のテレビがあり、もちろん家族の個室、インターネット、冷蔵庫などといった我々日本人には当たり前のものがありません。

そんな中、村にはチラホラ2階、3階建ての先進国にあるような立派な家があります。

僕のホームステイしている家も同様なのですが、お父さん曰く、この村で(立派な)家を建てられるのは、アメリカで不法就労した者か、政府関係の仕事についている者だけとのこと。

簡単にいうと、家を建てたければアメリカに不法就労するしか方法がないのです。

2.アメリカへの不法入国

何としても自分の家を建てたいお父さんは、30歳の時に、二人の小さな息子(上が9歳、下が2歳)と奥さんを残して、アメリカで不法就労することを決断しました。

まず、グアテマラからメキシコシティまで飛行機で移動し、そこからバスでメキシコ・アメリカの国境まで移動しました。

前述の「Sin Nombre」の作中だと、貨物列車の荷台に飛び乗ってアメリカ国境に向かう描写がされておりましたが、そこは密入国業者に支払うお金の多寡によるようです。

お父さんは冷房の効いた快適なバスで国境に向かったよと楽しそうに回想していました。

この密入国業者が通称”コヨーテ”で、通常密入国者はこのコヨーテにお金を払い、密入国の手引きや、運送、必要書類の偽造などをサポートするのだそうです。

ちなみに費用は、お父さんが密入国した当時はおよそ$6,500で、現在では$14,500程度まで高騰しているとのこと。

国境に着いたら、コヨーテの指示で壁を乗り越え、アメリカ側のコヨーテとの待ち合わせポイントまで歩きます。

先日、同じくグアテマラから不法入国をしようとした女性が、国境パトロールに発砲されて死亡したという悲しいニュースがありました。

 

Woman Killed By Border Patrol Identified As Claudia Patricia Gomez Gonzales, 20

The woman shot and killed by U.S. Border Patrol on Wednesday has been identified as Claudia Patricia Gómez Gonzáles, a 20-year-old who had traveled to the U.S. from Guatemala in hopes of securing work to pay for her education.

 

お父さんに危険はないのか?と質問したところ、コヨーテにも松竹梅のようなランクがあり、それなりのお金を払えば安全に不法入国(安全に不法入国って表現なんかおかしいですよね)できるとのこと。

その後、アリゾナの待ち合わせポイントで、アメリカ側のコヨーテと落ち合い、そこで身元確認と、アメリカの滞在先(お父さんの知り合い)に身元の確認を電話で行います。

そして、そのアメリカに住んでいるお父さんの友達が、コヨーテに対して入国費用を銀行から振り込むことで手続きが完了、アメリカでの各種偽造資料や滞在先までの航空券などを渡されるとのことです。

その後、バスで最寄の飛行場に移動し、お父さんの場合は友達のいるフロリダのタンパに飛んだとのことです。

この際に外国人ならば、アメリカの国内線でもパスポートの提示が求められますが、ここで偽造パスポートが活躍。ちなみに偽造パスポートはメキシコ国籍だったそうです笑

3.アメリカでの不法就労

その後、フロリダ・タンパに移動し、アメリカにおける新生活がスタートしましたが、お父さんの本業である電気技師としての仕事は、social security card(日本でいうマイナンバーみたいなもの)や労働ビザを持っていないため(この偽造資料は入手できなかったとのこと)なかなか見つかりません。

そのため、生計を立てるために各種書類のいらない庭師の仕事を行いました。

大きな声では言えませんが、アメリカでは探せば低賃金で不法就労をすることが可能です。

筆者もニューヨークのラーメン屋で不法就労したことがありますが、給料を現金でもらえるので、IRS(日本でいう国税局)の足もつきません。

その後、お父さんは仕事が見つからないので、仕方なく隣のジョージア州のアトランタに移動。

引き続き、庭師の仕事を行なっていたある日、仕事先の家庭で電気系統のトラブルがあり、そこでお父さんが簡単に問題を解決したことをきっかけに、電気技師として働かないかとのオファーを頂いたそうです。(もちろん給料は現金払い)

そして、その会社のつてでニュージャージ州に移動。

電気技師としての仕事を得てからは、休みなしの週7日で働きます

ニュージャージー滞在中は、$1200のワンルームに6人の中米のアミーゴ達と暮らし、食事はもちろん自炊。トルティーヤを自分でひたすら作っていたそうです。

遊びに行くお金はないので、テレビで映画を見るのが唯一の娯楽

そのテレビは、9月の新学期シーズンの買い替えのタイミングで路上に捨てられていたものを修理して使用していたとのこと。

暖房・冷房は家にないので、夏は暑くて眠れず・冬は寒くて眠れず。。

その間毎週、週払いで現金をもらい、銀行口座は使えないのでウエスタン・ユニオンなどの海外送金サービスでグアテマラにいる家族に給料のほとんどを送金していたそうです。

4.そして現在

最終的にアメリカで4年働いた後にグアテマラに帰国しました。

本人曰く、二度と戻りたくないとのこと。

しかし、その苦労の甲斐があり現在では、3階建ての立派な家を建てて家族と一緒に暮らしています

また、客室を1フロア3室作り、それをホームステイとして貸し出しており、現地の物価水準では高額な週$85(3食付き)で提供しているので中々のビジネスマンです。

まとめ

日本にいては中々聞くことのできない、中米の不法入国・就労の実態をシェアさせて頂きました。

このお話を聞いて、まず頭に浮かんだのは、自分は日本に生まれたのは何て幸運であったのかということ。

やはり、旅に出ると、インターネットでは検索できない生の情報に触れることができてとても楽しいですね。